2024/12/05 13:21

12月に入り、冷え込みが厳しくなり、ニットが手放せない季節となりました。 冬の寒さが深まる中、古来より人々に愛されてきた「タチバナ」が、静かに色づき始める時季を迎えています。

橘とシークヮーサー、そして日本の伝統

七十二候の「橘始黄(たちばなはじめてきなり)」は、まさにその様子を表しています。 古事記や日本書紀にも登場する橘は、日本人の心に深く根ざした植物です。 花と常緑の葉が「永遠」の象徴とされ、家紋や文化勲章、500円硬貨にもその姿を見ることができます。

そして、驚くべきことに、この古くから日本の文化に深く関わってきた橘と、沖縄を代表する柑橘類であるシークヮーサーは、実はとても近い関係にあることが最近の研究で明らかになりました。

沖縄のカンキツがつなぐ、橘とシークヮーサー

2021年に沖縄科学技術大学院大学(OIST)が行った研究により、タチバナとシークヮーサーの共通の祖先が沖縄に自生する「タニブター」であることが判明しました。 タチバナとシークヮーサーは、遺伝子レベルでみると片親違いの兄弟のような関係と言えるのです。

(参考:https://www.oist.jp/ja/news-center/news/2021/7/26/juicy-past-favorite-okinawan-fruit-revealed)

沖縄の熱帯の島で生まれたタニブターが、長い年月をかけて、日本の本土と沖縄という異なる環境でそれぞれ独自の進化を遂げ、橘とシークヮーサーになったという事実は、とてもロマンを感じます。


異なる場所で育まれた、それぞれの魅力

橘は、古くから日本の文化の中に深く根差し、人々に永遠の象徴として愛されてきました。一方、シークヮーサーは、沖縄の厳しい自然の中で育まれ、その酸味と爽やかな香りが特徴的な柑橘類として、現代では健康食品としても人気を集めています。

このように、同じ祖先を持ちながらも、全く異なる文化の中で育まれ、それぞれが独自の価値を持つようになった橘とシークヮーサー。 この事実は、生物の進化の神秘を感じると同時に、人間の文化がいかに自然と深く結びついているかを示していると言えるでしょう。

 

まとめ

冬の寒さが厳しくなる中、橘が色づき始める様子は、私たちに季節の移り変わりを感じさせるとともに、日本の伝統文化と自然の繋がりを改めて考えさせてくれます。 そして、橘とシークヮーサーの深い関係を知ることで、私たちを取り巻く自然や文化に対する理解を深めることができるのではないでしょうか。